抽象、抽象画、抽象絵画の見方
ギャラリーファインアートの創業は1972年です。当初は洋画や日本画等を中心に販売していましたが、1995年以降は現代アートにシフトし現在に至っています。因みに1974~75年頃から現代アート作家の個展を開催したり、現代アートの版画家のエディションを作家に発注(自社制作)したりしておりましたので、現代アートを取り扱いはじめたのは比較的早い方だったと思います。
「風景画や花のお絵は理解しやすいけれど、抽象作品は何が描かれているかわかからないのでどこが良いのかさっぱりわからない。」というご感想を述べられる方が多いようです。
このような感想をお持ちになる理由はそれなりに理解出来ますが、弊社は長年にわたって抽象絵画を販売してきた経験から、「抽象」は作品の美しさを見る者に与えるという点で、洋画や日本画に負けず劣らずわかりやすく優れた媒体だと思っています。
そこで、本稿では現代アート、特に抽象絵画の見方について出来るだけわかりやすいようにお話しさせて頂きます。
風景画はわかりやすいのか?
「抽象画と比べて風景画はわかりやすい」という感想は、至極当然のように聞こえますが、本来の意味でアートを鑑賞するという視点から見ますと少し外れています。
何故かと申しますと、風景画をご覧になる方は、そこにパリの風景が描かれている、富士山が描かれているということは理解されたかも知れませんが、作品そのものに浸透している美しさや芸術性を感じたかどうかは別問題だからです。
具象画は風景、静物、人物等を描くことによって、これらの「モノ」に内在する美しさを表現します。
何が描かれているかを理解するのではなく、作品に浸透する美しさを感じてはじめて作品を理解したと言えるのではないでしょうか?
抽象画とは何か?
広辞苑によりますと、「抽象芸術」は「現実世界の形象を取り扱わず、純然たる線・色・形によって造形表現を行う非具象的な芸術の総称。」と定義されています。
即ち、抽象作品の中に描かれた「モノ」は、モノ自身に意味がある訳ではなく、モノ(作品の線・色・形)の中に表現された美しさと芸術性にこそ価値があるのだと理解されます。
抽象画をご覧になる時にはぜひ何が描かれているかという思考を停止して、線・色・形、そして質感の中に浸透している美しさを感じとって頂ければと思います。
抽象画の見方
はじめて抽象画をご覧になる方は以下の3点にご留意くださいますと、より理解が深まるのではないかと思います。
現代アート、抽象絵画に出来るだけ慣れてください。風景画や静物画は子供の頃から見慣れていますが、抽象画はそうではありません。美術館、ギャラリー、あるいはネットの画像でも構いませんので出来るだけこれらのジャンルの作品を数多く見て頂ければと思います。慣れるに従ってより親しみがわいてくると思いますので。
抽象的な作品をご覧になる時には、何が描かれているのか?どういう意味があるのか?という「思考」を停止して、心をニュートラルにした状態で作品に集中してください。何が描かれているかを考えるのではなく、作品に内在する美しさを感じることが大切です。
思考を停止し、無心になって作品に集中したその先に、美しさと芸術性が立ち上がってくるという事実をぜひ実感して頂ければと思っております。
アートは理屈で考えるものではなく、感じるものだと思います。従いまして、作品の良し悪しを決めるポイントはあくまでも見る方の好みです。飾った時の効果も大切ですが先ずは好きか嫌いか、その作品がご自身にとって心地よいかどうか、ということが最も大切なことではないかと思います。
アート作品は、風景でも、静物でも、あるいは抽象でも、そこに描かれている「モノ」よりも、作品に内在する美しさと芸術性、そして作家が作品に込めた美意識にこそ本来の価値があるのだということをご理解頂ければ幸いです。
抽象、抽象画に関連した下記のブログもご参考になるかと思いますのでご一読ください。
抽象画販売サイト
https://www.g-fineart.co.jp/blog/026
絵画販売~具象から抽象へ
https://www.g-fineart.co.jp/blog/081