「コロナウイルスの時代に思うこと」~中澤愼一~
新型コロナウイルス対策の「緊急事態宣言」が発令されてから三週間が経ちます。
私の日常は宣言以前と驚くほど変わりません。
ほとんど人に会うこともなく、毎日アトリエで作品を制作しているだけの生活です。
困ったことといえば、画材屋が休業していること、クラシックのコンサートが軒並み中止になっていること、美術館が休館されていることぐらいでしょうか。
いずれも「不要不急」の外出に当たりそうなイベントですね。
しかし、安全と安心が異なる概念なのと同じく、不要なことと不急なことは全く違うことを意味しています。美術も音楽も不急ではありますが、不要ではありません。
私は制作にあたって、人間の喜怒哀楽を超えるような作品、ある種の「絶対的なもの」を目指す作品を作りたいと思っています。
例えば、人が草花を見て癒やされるような感じではなく、銀河や星団や宇宙の始まりから終わりまでを考えている時に、
小さなことでくよくよしている自分がばからしくなるような、あの感じを与える作品を作りたいと思っています。
そういう考え方すれば、天文学が不急ではあっても不要ではないのと同じように、自分の作品も不急ではあっても不要ではない存在だと確信しています。
2020年4月30日 中澤 愼一