プライマリーマーケットとセカンダリーマーケット
美術品の市場にはプライマリーマーケットとセカンダリーマーケットの2つが共存しています。
以下に個々の作家の活動をサクセスストーリー風にお話ししますと
①作家は活動を開始する時点では取り引きする画廊を持っていません。(取引する画廊が現れることを業界では「画廊がつく」と言います。)
ホームページで自身の作品を宣伝する、貸し画廊で作品を発表する、もしくは自身の作品を扱ってくれそうな画廊にコンタクトするなど営業活動を行う。
②画廊がつく。この段階で作家からの出し値(美術商から見れば仕入価格)と定価(作品価格、発表価格、参考上代価格)を作家と美術商との間で取り決めます。
※定価とは呼ばず、日本画、洋画の世界では発表価格と呼ぶことが多いです。
ここで、極めて小規模且つ狭い範囲ではありますがプライマリーマーケットが形成されます。作品に人気が出てくれば、取り扱いを希望する美術商が2社、3社と増えていきます。
③(このような状況になる確率は極めて低いですが)徐々にセカンダリーマーケットで取引されるようになる。即ち、作品が業者間で取引されるようになる。また、業者の交換会や民間のオークション会社での売買されるようになる。
この段階になると、作家と直接取引を希望する美術商の数が増えていき、そのため制作が注文に追いつかなくなるため(需要が供給を上回る)、出し値と発表価格が上がっていきます。
④上記の段階がさらに進むとプライマリーマーケットでの売買よりもセカンダリーマーケットで売買される量が徐々に増えていきます。(セカンダリーマーケットの比率が高まる。)
⑤作家の老齢化や死去などの理由で作家からの供給が途絶えた段階でプライマリーマーケットは消滅し、セカンダリーマーケットに全面移行します。
※この段階では作家の出し値、定価(発表価格)とは別にセカンダリーマーケットでの価格が形成されていきます。
市場価格は、その時々の経済情勢、顧客の評価(価値観、好み)により作品毎に決まっていきます。
以上で述べたように①から⑤へとプライマリーマーケットからセカンダリーマーケットに移っていきますが、セカンダリーマーケットで取引されるようになる作家は極めて少数です。